定款とは?作成の流れや内容、記載事項について徹底解説

定款とは?作成の流れや内容、記載事項について徹底解説

新たに会社を設立するときには、さまざまなことを意思決定し実行する必要があります。最初に土台をしっかり作っておくことで、その後のビジネスを進めやすくなります。

資金はもちろん重要ですが、それと同等以上に「会社の方向性」をしっかり固めておくことが成功の鍵といえるでしょう。

会社を設立する際に用意しなければならないものの1つに、定款があります。これから会社を起こそうと考えている方であれば、言葉自体はおそらくご存知でしょう。

しかし具体的にどういうものか、細部までは理解できていないところもあるのではないでしょうか。

この記事では「定款とは何か」という基本的な知識から、具体的な記載内容、作成から会社設立までの流れ、外注した場合のメリットとデメリット、かかる費用などについて解説します。

かなで税理士法人では、定款作成も含めた会社設立全般に関して、お客様一人ひとりに寄り添ったアドバイスとサポートを提供しています。この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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定款とは?

定款とは、会社を設立するときに発起人全員の同意のもとで作成する、会社の規則が記された書面のことです。会社を運営していくにあたっての基本ルールが詰め込まれており、「会社の憲法」とも呼ばれています。

会社を設立する際に作られる最初の定款を、原始定款といいます。原始定款はその後、内容に変更を加えることが可能です。

たとえば会社の名前や役員の決め方を変更した場合には、その都度新しい内容を反映させる必要があります。

定款の目的

定款の目的は、会社の基本的なルールを明らかにしておくことです。役員の任期や選任方法、あるいは株式の取り扱いといったことについて、明文化しておくことで内外にしっかり認知させる役割を持っています。

といっても、定款は誰でも自由に閲覧できるわけではありません。閲覧できるのは、株主あるいは債権者です。ごく普通の一般人が、無関係な会社の定款を閲覧することは認められていません。

定款の内容に背いた方法で会社を運営することは、会社法に違反する行為となります。「定款を見れば会社の運営の仕方がわかる」という状態を維持しておかなければ、目的は達成されないからです。したがって定款の内容は十分に実現可能なものにしなくてはいけません。

定款の必要性や費用感

定款の必要性は、前項「定款の目的」と連動するものです。会社の基本的なルールを関係者がしっかり把握するために、定款という形で明文化しておくことが必要となります。

たとえば新たに会社の株主になった者は、株主総会で会社の運営方法について提案する権利を有する場合があります。このとき、現在の会社の運営方法が把握できなければ、そもそも改善案を作れません。

会社関係者が会社のあり方を考えるうえで、定款というルールブックは必要不可欠となります。

作成にかかる費用は、紙の定款にするか電子定款にするかで異なります。紙の場合は40,000円の印紙代がかかりますが、電子の場合には必要ありません。

株式会社の場合は、完成した定款を公証人役場で認証してもらう必要があるので、30,000円程度の認証手数料が必要になります。

定款に記載する内容

定款に記載する内容

定款は会社のルールを記したものであり、内容は会社ごとに異なりますが、自由な書き方をしてよいわけではありません。「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類が設定されており、これらをベースに作成することになります。

ここではそれぞれの事項について、具体的に解説します。どのような項目がどのカテゴリに入るのかを把握しておきましょう。以下の解説をしっかり読み込んで、イメージをつかんでおきましょう。

絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、文字通り、定款に必ず記載しなければならない事項のことです。絶対的記載事項が抜けている場合、定款全体が無効となるので注意してください。

絶対的記載事項は、以下の5項目です。

  • 事業の目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 資本金の額
  • 発起人の氏名と住所

順番に見ていきましょう。

事業の目的

会社を設立して、具体的にどのような事業をおこなうのかを決めます。目的を明記する理由としては、「取引の安全性の確保」が挙げられます。事業の目的が明らかでないと、取引先から見て素性のわからない会社になってしまうからです。

事業の目的は、あとから変更可能です。必ずしも最初に決めた目的にしたがって事業を進めなければいけないわけではありません。

商号

商号とは社名のことです。会社名として使える文字には一定の決まりがあるので、注意が必要です。たとえば株式会社の場合は、商号のどこかに「株式会社」という言葉が入っていなければいけません。反対に、株式会社以外の会社が株式会社という言葉を使うことは禁止されています。

商号はあとから変更可能です。イメージ戦略などを理由に社名を変更することは、よくあるでしょう。

本店所在地

本店所在地とは、登記された会社の住所のことです。会社は必ず、実体のある住所を1つ持っておかなければいけません。会社がたしかに存在することを証明するものであり、取引しても大丈夫な会社であるかを相手先の会社が確認する手段となります。

資本金の額

資本金の額とは、会社を設立するうえでいくら出資したのかの数字です。資本金の額が高ければ、売上が立つまでに費用がかかっても耐えられますし、取引先に与える印象もよくなります。

具体的な金額を決める際には、さまざまな観点から考える必要があるでしょう。

発起人の氏名と住所

会社の設立者である発起人の氏名と住所も、絶対的記載事項です。誰が会社を設立したのかをしっかり明記しておくことで、会社の背景がしっかりしたものであることを明示できます。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、なくても法的に問題はないものの、記載しなければ効力が発生しない事項を指します。

代表例としては「株券を発行する旨の定め」があります。株券を発行しないときはなんの言及も必要ありませんが、発行するのであればその旨を記しておかなければ、会社は株券を発行できません。

相対的記載事項は、主に以下のようなものがあります。

  • 変態設立事項
  • 設立時発行株式に関する事項
  • 発行可能株式総数
  • 監査役、代表取締役、会計参与、会計監査人の設置
  • 取締役会、監査役会の設置
  • 株式の譲渡制限に関する定め
  • 種類株式に関する定め

任意的記載事項

任意的記載事項とは、上記2つのどちらにも当てはまらないもので、かつ法的に正当な記載事項のことです。

相対的記載事項と違う点は、定款を使わずとも、ほかの手段で明確にしておけば効力が認められるところです。

任意的記載事項の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 事業年度
  • 取締役、監査役などの員数
  • 役員報酬の決め方
  • 株主総会に関する事項
  • 株式に関する事項

定款作成から会社設立までの流れ

定款作成から会社設立までのおおまかな流れは、以下のようになります。

定款作成から会社設立までの流れ
  1. 定款の作成
  2. 定款の認証手続き
  3. 出資の履行と機関の設置
  4. 設立登記申請

順番に見ていきましょう。

定款の作成

まずは定款を作ることから始まります。すでに解説したように、定款は会社のルールをまとめたものであり、既定のフォーマットに沿ってしっかりと固めておく必要があります。

絶対的記載事項は必ず決めなければいけませんが、相対的記載事項と任意的記載事項は、この時点では必須ではありません。

定款はあとからでも変更できるので、最低限の項目のみ定めて会社をスタートさせ、様子を見ながら細かな部分を決定していくのも戦略の1つです。

定款の認証手続き

定款の作成が終わったら、定款の認証手続きをおこないます。これは株式会社の場合にのみ必要な工程で、持分会社を設立するときには認証を受ける必要はありません。

定款の認証は、公証人役場でおこなわれます。必要な書類としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 作成した定款3通
  • 発起人全員の印鑑証明書
  • 収入印紙代(40,000円)
  • 定款の謄本交付手数料(250円×ページ数)
  • 委任状(代理人が定款認証する場合)

また認証には手数料が発生します。資本金の額に応じて30,000〜50,000円まで変動するので、あらかじめ用意しておきましょう。

出資の履行と機関の設置

定款の認証が終わったら、出資の履行と機関の設置をおこないます。

出資の履行とは、会社の原資である資本金を発起人などが実際に拠出し、指定の銀行口座に収めることを指します。会社設立前に、全額の出資が履行されていなければいけません。

機関の設置とは、取締役や代表取締役を決定することを指します。定款で定めていない機関については、設置できないので注意しましょう。

設立登記申請

最後に設立登記の申請をおこないます。設立登記は自分たちの手でおこなうこともできますが、添付書面が多く煩雑な作業となるため、専門家である司法書士に依頼するのが通例です。

法務局で法人登記の手続きが終わると、登記事項証明書が届きます。この証明書が法人として認められた証拠であり、この時点で会社の設立は完了となります。

定款を外注

定款の内容を決定するのは時間のかかる行為なので、すべて外注で済ませたいと考えることもあるかもしれません。

しかし「定款を外注する」というとき、通常は定款の内容をすべて外部の人間に決めてもらうことではなく、アドバイスを受けることや、認証などのプロセスを任せることを指します。

会社の大事な決め事を、完全に丸投げするのは推奨されません。自分たちの事情が深く反映されていない定款は、トラブルの元になるからです。

定款に関してアドバイスを受けたり、認証してもらったりといったことを依頼したい場合には、司法書士・行政書士・税理士などの専門家が対象となります。

定款の変更手続きや費用

定款は1度作成したら終わりではなく、その後の都合に応じて変更することも可能です。

ただし、無条件にいくらでも変更できるわけではありません。たとえば株式会社の場合、定款を変更するには株主総会の特別決議が必要となります。

特段の定めがない場合、株主総会の特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得る必要があります。

定款の変更手続き自体には、費用はかかりません。あらためて公証人役場へ行って認証してもらう必要もありません。

ただし変更と同時に登記する必要のある事項については、登記のほうで費用が発生することに注意してください。たとえば会社を移転する場合などが該当します。

まとめ

定款とはどのようなものか、どのように作成するべきなのか、会社設立までの流れはどのようなものか、といったことについて解説しました。

定款は会社の根幹をなす非常に重要なもので、先々のことまで考慮し慎重に定める必要があります。とはいえ初めて会社を設立する場合には、ノウハウの蓄積もないので、どのように作成すればよいか迷ってしまう方も多いでしょう。

定款作成や会社設立についてお悩みの際には、かなで税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

数多くのお客様からご相談を承ってきた実績にもとづいて、お客様のご都合にしっかり寄り添った適切なアドバイスとサポートを提供いたします。

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