起業を考えている段階では、誰でも希望に満ち溢れているものです。しかし、いざ実行に移そうとすると、そこには未知の課題や困難が待ち受けています。経験者から聞いた話や書籍、オンライン情報だけではつかめない、独自の問題や課題が現れることも少なくありません。
それぞれのビジネスモデルや業界特有の問題、法的・経済的な背景を理解しながらの適切な判断が求められます。とくに起業初心者にとっては未知の体験となるため、適切な相談先を知り、早期に対応策を練ることはとても重要です。
本記事では、起業を考えている人や、すでに事業を始めたものの何らかの悩みや不安を抱えている人に向けて、相談内容に応じた最適な相談先を詳しく紹介します。
目次
どんな相談内容があるのか
起業を夢見る多くの人々が直面するのは、さまざまな課題や疑問、具体的なアクションへの不安です。これらの問題は単なるスタートアップの初期段階だけでなく、事業の塾生に向けての成長フェーズや、さらなる拡大を目指す際にも繰り返し現れます。
ここでは、起業する前後によくある相談内容である、以下の4つについて解説します。
- 事業計画の作成
- 資金調達の方法
- 会社設立手続き
- 税務や社会保険に関する相談
事業計画の作成
事業計画の作成は、起業家が取り組むもののなかでもっとも根幹となる部分です。単に事業の方向性や目的を示すものでなく、具体的な市場分析・顧客の特性やニーズなど、事業を成功に導くための基盤を築く手段としての役割を果たします。
資金調達やパートナーシップ構築の際にも、事業計画は重要な判断材料として扱われます。
しかし、現実的でしかも魅力的な事業計画を策定するのは、多くの起業家にとって未知の領域に属する事柄です。事業計画作成段階で専門家のアドバイスやガイダンスを受けることは、リスクを回避して成功への道をたどるための大切なプロセスとなります。
資金調達の方法
資金調達は、多くの起業家が直面する大きな課題の一つです。新しい事業を始めるには、初期投資としての経費や、事業が黒字になるまでの運転資金、事業拡大を目指すための資金などが必要になります。
資金調達の方法は多岐にわたり、それぞれに利点とリスクがあります。銀行融資は比較的低い利率で資金を調達できる反面、信用の問題に直面するでしょう。エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの投資では、大きな資金を調達できる可能性がある一方、投資家の意向に事業内容を左右される恐れがあることを考慮しなければいけません。
どの方法を選ぶかが、事業の将来に大きな影響を与えるため、事前の情報収集と共に専門家との相談が欠かせません。
会社設立手続き
会社を設立する際の手続きは、法的に重要なプロセスです。まず事業の形態や規模に応じて、株式会社・合同会社などの法人格を選択しなければいけません。経営上のリスク、資金調達の容易さなど、さまざまなことを考慮する必要があります。
設立手続き自体も、商業登記・定款の作成・役員の選任など多くのステップを経る必要があります。一連の手続きは法的なルールや規定にのっとって正確に行わなければならず、初めての起業家にとっては複雑で難解に感じられることでしょう。
間違いや不備が生じると、事業計画にも影響を及ぼす恐れもあるため、この段階での専門家のサポートや相談には非常に価値があります。
税務や社会保険に関する相談
起業家が事業を運営するうえで、避けて通れないのが税務や社会保険に関する手続きです。初めて起業する人にとっては煩瑣に感じられることが多く、それでも正確な対応が求められるため、適切な相談や指導が不可欠となります。
税務に関しては、法人税や消費税といった基本的な税金から、特定の業種や取引に関連する税金まで、適切に計算・申告を行う必要があるため、正確な知識が必要です。また、社会保険に関しては、健康保険・厚生年金・労働者災害補償保険などの加入や手続きが義務付けられています。
複雑な手続きや知識を正確に理解し、適切に対応するためには、税理士や社会保険労務士など専門家との連携が推奨されます。
参考:社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入手続はお済みですか? | 厚生労働省 国民年金機構
相談先と相談方法について
起業に関する相談をするときは、内容や課題に応じて適切な相談先や方法を選択することが重要です。公的機関から専門家、オンラインでの相談まで、利用できるソースがたくさんあるなかで、それぞれの性質を理解して使い分けることがポイントとなります。
ここでは、各種相談先や相談方法を具体的に見ていきます。
公的機関での相談
公的機関での相談は、とくに初めての起業家にとっては、手軽で信頼性の高い方法です。企業経営に関係する多くの公的機関が起業に関する基本的な情報やサポート、助成金や補助金に関する情報提供などを行っており、低コストで質の高いアドバイスを受けられます。
商工会議所
商工会議所は、地域経済の発展を目的として設立された公的な組織であり、起業家や中小企業の支援を積極的に行っています。多くの専門家や経験豊富なスタッフが在籍しており、事業計画の策定から資金調達、法的手続きなどの具体的なアドバイスを受けられるでしょう。
セミナーや研修会なども頻繁に開催しており、ほかの起業家との交流の機会を得ることも可能です。
税務署
税務署は国税の申告や納税の管理を行っています。税務署では、開業時の手続きのほか、確定申告の方法など税金に関わる手続き全般の相談を受け付けています。
種類別の税金に関する具体的な質問や、納税の手続きなどについては、税務署以上に正確なアドバイスを期待できる機関はほかにないでしょう。
政策金融公庫
政策金融公庫は、国が100%出資している金融機関であり、中小企業や起業家の資金調達を支援するための融資を提供しています。政策金融公庫の融資は、通常の商業銀行の融資よりも低金利で長期の貸し付けができるのが特徴です。
具体的な融資の内容や条件、申し込みの方法などについての相談はもちろん、事業計画の策定や資金計画の立案などの支援もしてくれます。初めて資金調達を行う起業家や、資金繰りに困難を感じる事業主にとっては、信頼性の高いアドバイザーです。
専門家に相談する
企業や経営に関する課題や困難は多岐に渡るため、公的機関だけでなく、専門家の知識や経験が必要となるケースもあります。専門家は、それぞれの領域の深い知識と実務経験を持っているため、具体的で実践的なアドバイスやサポートを提供してくれます。
また、専門家は業界の最新情報やトレンド、ネットワークなどの情報も豊富に持っているため、その情報をシェアしてもらうことで事業の成功率を高めることも可能です。
税理士
税理士は税務に関する専門家であり、個人や企業の税務処理や申告、納税のサポートを行います。税法や会計に関する深い知識を持っており、起業家が直面する税務に関するさまざまな問題や課題に対応可能です。
具体的には、法人税などの税金の計算や申告、節税対策や税務調査への対応などのサポートを提供しています。
また、事業計画や資金計画の策定、経営戦略の立案などの経営サポートを行っている場合もあり、起業家の強力なパートナーとして活躍しています。
弁護士
弁護士は法律の専門家として、広範囲にわたる法的問題やトラブルに対応するプロフェッショナルです。起業家が直面する可能性のある契約問題、労働トラブル、知的財産権の保護、企業の合併や買収など、ビジネスに関わるさまざまな問題を解決するためのアドバイスとサポートを提供します。
また訴訟や紛争の際には、クライアントの代理人として活動し、最良の解決を目指します。
契約は事業活動の基盤となる部分なので、間違いのないように契約書の作成やチェックは法律の専門家に任せるのが理想です。
司法書士・行政書士
司法書士と行政書士は、それぞれの専門領域において法的手続きのサポートを行う専門家です。
司法書士は、主に不動産の登記や会社の設立登記などを担当します。会社設立や資本増減、合併・分割など、企業活動にともなうさまざまな法的手続きでは、司法書士に依頼することでスムーズに進めることが可能です。
行政書士は、行政手続きの専門家として、ビジネス許可やライセンス取得のサポートを主に行います。特定の事業を開始する際に必要な許認可の取得手続きや、関連する書類の作成など、事業活動を円滑に進めるために欠かせない存在です。
オンライン相談の活用
近年ではテクノロジーの進化にともない、オンラインを活用したビジネス相談が増加しています。オンライン相談は、物理的な距離や時間的な制約を気にせず、専門家や経験豊富な事業家とつながりを持つことが可能な仕組みです。
ビデオ会議ツールや専用のアプリを活用することで、顔を見ながらのコミュニケーションはもちろん、画面共有を用いた具体的な資料の共有や解説もスムーズにできるようになりました。記録を保存できるので、あとで内容の再確認ができるのもメリットでしょう。
予約方法
通常、オンライン相談を利用するには、事前の予約が必要です。多くのオンライン相談サービスや専門家が専用の予約サイトやアプリを通じて予約を受け付けています。
具体的な予約方法はサービスによって異なりますが、希望する日時や相談内容を入力し、予約するのが一般的な流れです。
事前のカウンセリングやヒアリングを行い、最適な専門家をマッチングしてくれるものもあります。
料金の支払いはオンライン決済が主流で、クレジットカードや電子マネー、銀行振込のなかから選ぶことになります。予約をする際は、利用規約やその他の注意事項をきちんと確認しておきましょう。
相談の進め方
オンラインでの相談は、対面とは異なる特性を持っているため、効果的な進め方を知っておくことが重要です。
まずオンライン相談を始める前に、技術的な環境を整えます。安定したインターネット接続や、クリアな音声や映像を提供できる機材の確保は必須です。使用するビデオ会議ツールの操作方法を事前に習得しておくと、相談もスムーズに進むことでしょう。
相談する際は、自己紹介をしてから相談の目的と期待する結果をはっきりと伝えることが大切です。状況を理解してもらえなければ、的確なアドバイスは受け取れません。
相談中は、確認の意味でノートを取ることをおすすめします。オンラインの特性上、相手の反応が読み取りにくい場面もあるため、頻繁に確認を取って、誤解が生まれるリスクをできるだけ減らしましょう。
起業する前に知っておくべきポイント
起業は多くの人々の夢であり、新しいビジネスを築き上げることは魅力的な挑戦と言えます。しかしビジネスを成功させるためには、単によいアイデアを持つだけでなく、ビジネスの様式にのっとって仕事を進めていく必要があります。
起業する前に最低でも以下の3つは理解しておく必要があるでしょう。
- 経営や事業計画に関する基礎知識
- 必要な手続きや注意点
- 資金調達やサポート制度の活用
順番に見ていきます。
経営や事業計画に関する基礎知識
起業に際してもっとも重要なことは、しっかりとした事業計画を立てることです。事業計画はビジネスの方向性を示す大切な指針であり、企業の存在理由です。
まずは、ターゲットとする顧客層が誰なのか、どのような価値を提供するのかを明確にしましょう。その事業アイデアが市場に受け入れられる可能性があると思えたら、次に、そのアイデアを実現するための戦略やプランを策定します。
一連の計画を練る際に、ツールを活用して競合分析するなど、できるだけ具体的かつ実現可能な計画を立てましょう。計画を実現するために必要な資金や人材、施設などのリソースについてのアイデアも盛り込む必要があります。
起業初期のハードルを乗り越え、ビジネスを成功へと導くための土台にもなるのが事業計画です。
必要な手続きや注意点
起業に際しては、多くの法的な手続きやルールが関与してきます。会社の形態を決めることから始まり、商号の決定、定款の作成、公証役場での認証手続きなど、会社を設立するだけでも数多くの手続きが必要です。
会社を設立したあとも、税務署への届出や社会保険の手続きなど、やるべきことはたくさんあります。
すべて決められた順序で、決められた期限内に、必要な書類や証明書を準備しなくてはなりません。また各種手続きにかかる費用や、将来的に必要となる定期的な手続きも把握しておくことが重要です。
手続きには複雑なものも多く、専門家の助けを借りることでスムーズに進行できる場合もあるので、適切なタイミングで相談することを考慮するとよいでしょう。
参考:株式会社の設立手続(発起設立)について|法務省
資金調達やサポート制度の活用
起業に必要な初期資金や事業拡大のための資金調達は、多くの起業家が直面する課題です。銀行からの融資やベンチャーキャピタルの投資、クラウドファンディングなど、さまざまな資金調達方法が存在します。
それぞれ対象となる事業や条件、メリットやデメリットが異なるので、自身のビジネスモデルや資金の必要性に応じて、適切な方法を選択しなければいけません。
また、国や地方自治体が提供するサポート制度も多数存在します。補助金や助成金、税制上の優遇措置など、起業家をサポートするための制度を活用することで、事業はスムーズに進められます。
サポート制度は申請条件や期間、内容が細かく定められているので、事前に詳しく調査し、適切なタイミングで申請することが重要です。
起業について相談したい方は、かなで税理士法人まで
起業を自分の力だけで成し遂げることにこだわる人も少なくありません。確かに、自分の力だけでビジネスを築き上げることができれば、成果が出たときの喜びもいっそう大きいことでしょう。
しかし、自力のみでの起業には、数多くの難関やリスクが潜んでいます。法的な手続きや税務処理、経営戦略の策定など、多種多様な専門知識が求められるため、どれか一つの段階でつまずくと、大きな時間やコストのロストとなる恐れがあります。
わからないことや苦手な分野があるのであれば、専門家の力を借りるのが得策です。起業について相談したい方は、ぜひ、かなで税理士法人までお問い合わせください。
かなで税理士法人は、起業家の皆様を全力でサポートする体制を常に整えております。あらゆる経営の課題に対応するための豊富なノウハウを備えており、経営計画の策定や資金調達のサポートまで、幅広いサービスを提供可能です。
起業の際の疑問や不安、課題を解決するためのパートナーとして、ぜひ私たち、かなで税理士法人をご利用ください。初回相談は無料となっております。
かなで税理士法人
代表税理士
青山学院大学経営学部卒業後、2019年にかなで総合会計として独立開業。2024年にかなで税理士法人を設立。税理士事務所や一般企業の中で税務・財務・労務を行った経験を活かして、スタートアップ企業から中小企業の経営基盤構築のアドバイスまで幅広く業務を行う。
かなで総合会計はお客様と志を共にすること、そしてお客様の夢をかたちにするために日々サービス展開を行っている。起業・会社設立を一つの強みとし、創業融資などの資金調達支援や助成金・補助金のアドバイス業務も行っている。