会社設立は無料でできる?設立時の流れや費用を解説

会社設立は無料でできる?設立時の流れや費用を解説

新たに会社を設立し事業をおこなっていくには、まとまった資金が必要となります。具体的な金額はなにをどのようなスケールでおこなうかによって異なりますが、元手がなければ事業を進められないことは、分野によらず常識だといえるでしょう。

事業そのものに資金が必要なので、会社の設立自体はなるべく安く済ませたい、というのは誰しもが考えることです。そのようなニーズに応えるように、世間では「会社設立無料」と謳う広告があちこちに見られます。資金について頭を悩ませている方にとって、このセールスコピーは魅力的に映ることでしょう。

しかし本当に無料で会社を設立できるのでしょうか。また、お金をかけることとかけないことで、どのような違いが生まれるのでしょうか。

この記事では、会社設立の費用に関する知識を一通り解説するとともに、費用を節約する方法や、専門家に依頼する際の費用感についても触れていきます。

会社設立は無料でできる?

一部の税理士事務所などが、広告のなかで「会社設立無料」というキャッチコピーを用いています。会社設立に関する知識のない方が素直に読めば、1円の出費も発生することなく会社の設立が完了する、という解釈になるでしょう。

しかし残念ながら、会社設立無料というキャッチコピーには語弊があります。ここでいう無料とは「その税理士事務所などに対して会社設立代行の報酬を支払う必要がない」という意味に過ぎません。

つまり、会社設立を代行する段階ではあえて費用を請求せず、後の顧問料などで収益を上げていこうという戦略の一環です。

会社を設立する際には、たとえば設立登記するにあたって登録免許税を納める必要があります。この費用は必ず発生するため、1円もかけずに会社を設立するのは不可能というのが結論です。

会社設立に必要な費用

前項で解説した通り、会社設立にあたっては必ず費用が発生します。これをゼロにすることはできません。なぜなら費用のなかには、会社の設立登記する際に国に対して支払う登録免許税などが含まれているからです。

しかし登録免許税も含めて、かかる費用は一定ではありません。どのような種類の会社を作るかによって、最低限かかる費用に違いが出てきます。

会社法が定める会社の種類は全部で以下の4種類あります。

  • 株式会社
  • 合名会社
  • 合資会社
  • 合同会社

このうち実際に設立される数が多いのは、株式会社と合同会社になります。この2つは有限責任といって、なにか責任が生じたときに出資した額以上の支払いをする必要がなく、リスクが少ないのが人気の理由です。

ここでは株式会社と合同会社の2つについて、会社設立の際にどのような費用が発生するのかを見ていきます。

会社設立に必要な費用

株式会社の場合

株式会社は誰もが最初に思い浮かべる会社の種類ですが、ほかの3つと比べて初期費用がもっとも多くかかるという特徴があります。具体的には以下のような費用が発生します。

  • 収入印紙代:40,000円(電子定款の場合は無料)
  • 定款認証手数料:30,000円~
  • 謄本の手数料:約2,000円
  • 登録免許税:資本金の額の0.7%か15万円のどちらか大きい額

専門家に会社設立代行を依頼した場合、「会社設立無料」であっても最低18万円程度はかかる計算になります。

合同会社の場合

合同会社を設立する場合、株式会社に比べればある程度費用を安く抑えられます。具体的には以下のような数字となっています。

  • 収入印紙代:40,000円(電子定款の場合は無料)
  • 謄本の手数料:約2,000円
  • 登録免許税:資本金の額の0.7%が60,000円のどちらか大きい額

株式会社との違いは、定款認証手数料がかからないことと、登録免許税の最低額が低いことの2つです。このため合同会社の設立にかかる費用は、最低60,000万円程度と株式会社よりはかなり低くなります。

会社設立費用を節約する方法

会社設立にかかる費用は、ざっくりと以下のように分類できます。

  • 会社設立自体に対してかかる費用
  • 会社設立を専門家に代行してもらうことでかかる費用
  • 会社設立後の事業の準備にかかる費用

上記はいずれも、ごく普通に会社を設立しようと思えばどうしても発生する費用です。しかし節約を第一に考えるのであれば、工夫を重ねることで、ある程度までは費用を抑えることも可能です。

ここでは少しでも費用を節約する方法として、以下の4つを紹介します。

  • 自分で手続きをおこなう
  • 電子定款で申請する
  • 低資本金で設立する
  • 自宅やシェアオフィスを本店所在地にする

すべてを採用するのは難しいかもしれませんが、採り入れられるものは積極的に採り入れていきましょう。

会社設立費用を節約する方法

自分で手続きをおこなう

会社設立にあたって必要となる手続きのすべてを自分でおこなうことで、専門家に代行してもらうことでかかる費用をゼロに抑えられます。会社設立費用を節約する手段としては、もっとも手っ取り早い手段であるといえるでしょう。

会社設立に必要な手続きはすべて、専門家でなくとも実行できるものです。たくさんの書類を揃えたり、あちこちの機関に書類を提出したりといった煩雑な作業が発生することになりますが、特別な資格や能力は必要ありません。

会社設立前後は、これから始める事業にリソースのすべてを傾けたいところでしょう。しかし、あえてそのリソースの一部を会社設立作業に充てることで、ある程度の節約が可能となります。

電子定款で申請する

定款は会社のルールブックのようなもので、設立にあたって必ず作成しなければいけません。しかし書面形式のほかに電子定款という形式も認められており、その場合には収入印紙税40,000円がかからないというメリットがあります。

電子定款を選ぶデメリットはとくにないので、会社設立の際に節約を考えるのであれば、迷わず電子定款にすることをおすすめします。

低資本金で設立する

資本金とは、会社を設立するにあたって出資者が会社に出資した金額のことです。会社が事業をおこなうにあたっての「元手」と考えておけばよいでしょう。かつては資本金の額に下限が定められていましたが、現在では資本金1円でも会社を設立できる仕組みになっています。

資本金を低く設定しておけば、会社設立時に用意しなければならない資金が少なく済むので、節約になります。前述したとおり資本金1円でも会社の設立は可能です。

ただし資本金の低い会社には信用力がなく、事業開始後、思うように取引先を見つけられない可能性もあります。

自宅やシェアオフィスを本店所在地にする

専用の事務所を構えると費用がかかるので、会社設立直後は自宅やシェアオフィスを本店所在地に設定しておくのも、有効な節約方法の1つです。

とくに土地の値段が高い地域で会社を立ち上げる場合には、このような戦略が効果を発揮するでしょう。

ただしもちろん、そのようなスタートを切るのが難しい業種もあります。業務に支障をきたさない範囲で選択するようにしましょう。

専門家に会社設立の手続きを依頼する際の費用感

会社設立の手続きを代行してくれる専門家としては、弁護士・司法書士・税理士・行政書士などが挙げられます。

ただし、それぞれ対応できる業務の種類が少しずつ異なることに注意してください。たとえば行政書士が登記申請を有償で代行することは認められていません。

どの士業にも共通することとして、依頼料はピンキリです。地域によっても差がありますし、同じ地域であってもサービス提供の仕方によって、事務所ごとに報酬体系は異なっています。

しかし大雑把な費用感としては、1度の依頼で5万~10万円程度はかかると考えておいたほうがよいでしょう。ただし冒頭から述べてきたように、あえて会社設立代行の費用を無料としている事務所も存在します。

契約内容によっては安価で依頼できる

無料で会社設立代行してくれる事務所は、どのようにして利益を上げているのでしょうか。

実はそのような宣伝文句で集客している事務所の本当の狙いは、会社を設立したあと顧問として就任し、毎月の顧問料を取ることにあります。

会社設立の報酬は1度きりしか発生しませんが、顧問料は毎月発生するので、トータルで見れば事務所にとってメリットのある戦略であるとわかるでしょう。

このように、契約の内容によっては、会社設立を非常に安価で依頼できることがあります。事務所毎にサービス展開の仕方は異なるので、自分たちに適したサービス提供をおこなっている事務所を比較検討してみましょう。

まとめ

会社設立にあたってどれくらい費用がかかるのか、節約の手段としてどのようなものが考えられるか、といった点について解説しました。

記事内で言及した通り、会社設立を完全に無料で済ませることはできません。必ず費用は発生することになりますし、それを少しでも節約しようと思えば、引き換えに煩雑な作業をすべて自分でやる必要が生まれます。

結果的に、多少の費用を支払ってでも専門家に依頼したほうがよい場合が多いのが実状です。「時間」と「正確さ」は、お金には代えられないものだからです。

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