顧問税理士の変更にベストなタイミングは?トラブルなく変えるコツも解説

顧問税理士の変更にベストなタイミングは?トラブルなく変えるコツも解説

「税理士を変更したいのだけど、タイミングなど気をつけるべきことはあるだろうか?」このような疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

税理士は国が認めた税務の専門家ですが、全員が十分な仕事をしてくれるとは限りません。例えば、全体としてスピード感がなく、業務をともに歩んでいる実感が湧かないというケースが考えられます。人間と人間のやり取りである以上、相性の問題もあるでしょう。

税理士に不満を持っている場合に考えるのが、別の税理士へ変更することです。しかし、具体的にどのような手順を踏んで、税理士を切り替えればいいのか、分からない方も多いでしょう。適切ではないタイミングや手順で変更してしまうと、逆にトラブルに発展することもあるので注意が必要です。

本記事では、税理士を変更するのに最適なタイミングを解説します。また、税理士変更の伝え方や、トラブルを回避するコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

よくある顧問税理士変更の理由

事業を進める中で、契約している税理士に不満が出てくることもあるでしょう。顧問税理士を変更する理由としてありがちなのが、以上の4つのパターンです。

それぞれどのような事情から不満が膨らんでいくのか、以下で詳しく見ていきましょう。

報酬が高く感じる

税理士を変更したいと考え始める理由として多いのが「顧問報酬に見合った業務をしてくれない」という不満です。

自社が望む通りの業務を税理士が行ってくれない場合には、金額が不相応であると感じる可能性は十分にあります。契約書などでしっかり確認していないことから、認識のずれが起きることも少なくありません。具体的にどのような契約を交わしたのか、双方がきちんと理解していることが大切です。

節税の効果が感じられない

税理士に依頼することで、節税効果を期待する経営者は数多くいます。しかし、いざ税理士に依頼してみたら、思ったほど節税効果が得られなかった、というケースもあります。

これは、節税が本来の税理士業務ではないことが主な原因です。依頼者の側からお願いしなければ、節税に力を入れてくれないことは十分に考えられるでしょう。

また、過度な節税に保守的な税理士もいます。グレーゾーンな部分については、税理士によって判断が異なるため、税理士選びには注意が必要です。

コミュニケーションに不満がある

税理士のコミュニケーションに問題があると感じるケースもあるようです。具体的には返信が遅い、回答が曖昧、態度が横柄、説明が分かりにくいことなどが挙げられます。

税理士業界には、もともと寡占市場であった名残があります。そのため、対応に問題がある税理士も一部存在すると言われています。

自社の経営方針が変わった

考えてもみなかったタイミングで経営方針が変更され、税理士に求めるものも変わるということがあり得ます。例えば「新規事業の立ち上げに向けて資金調達に強い税理士に変えたい」「別業界に参入するから、その業界に精通している税理士がいい」などが具体例に挙げられます。

税理士も事務所ごとに得意分野が異なるため、依頼したい内容が変われば、変更したくなることも十分考えられるでしょう。

顧問税理士を変更するのにベストなタイミング

顧問税理士は、いつどのタイミングで変更しても問題ないというわけにはいきません。税理士を変更するのにベストなタイミングとして考えられるのは、以下の2つです。

  • 法人税申告書の提出直後
  • 税務調査が入った場合はその直後

それぞれの工程を、具体的に解説しましょう。

法人税申告書の提出直後

年度内の税務業務の最後に、法人税申告書を提出します。法人税申告書の提出直後は、一旦税務業務が一度まっさらになるタイミングです。したがって、申告書を提出した直後が、税理士を変えるタイミングとして適しています。

通常の場合、法人税の申告期限は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。決算が3月末である場合には、申告が終わるのはだいたい5月です。つまり翌月の6月が、税理士を変更するのに最適なタイミングと考えられます。

税務調査が入った場合はその直後

税務調査が入った場合は、調査終了直後が税理士を変更するよいタイミングです。もし、税務調査の結果を受けて、修正申告書の提出が必要となった場合は、修正申告書の提出後が理想です。

税務調査は、確定申告の内容に誤りがないかを確認するためのものです。したがって税理士のサポートが必要不可欠と言えます。

税務調査の時期は基本的にランダムです。しかし、2~5月に決算がある法人は7~12月、6~1月に決算がある法人は1~6月に調査が入る傾向にあります。

顧問税理士の変更で避けるべきタイミング

税理士の変更は、契約書に個別の取り決めが無い限り、原則としていつでも実行できます。しかし、スムーズに税理士を変更するなら、決算の3ヶ月前から法人税申告書の提出までの期間は避けるべきです。

決算においては、事業年度内の利益や損失を計上し、会社の1年間の業績をまとめ、納税額を算出する必要があります。煩雑な作業であるため、3ヶ月ほどの準備期間を要するのが通常です。

決算のタイミングで別の税理士に変更してしまうと、決算書類の作成に問題が生じる恐れがあります。したがって決算までの期間が3ヶ月を切っているのであれば、決算業務を終えるまで現在の顧問税理士に任せておきましょう。

顧問税理士を変更する手順

顧問税理士を変更する手順をざっくり列挙すると、以上のようになります。

スムーズに税理士を変更するには、正しい手順で手続きを進めることが大切です。もし、税理士がいない期間ができてしまうと、自社で税務処理をしなければならず、負担が大きくなります。また、顧問税理士がいないタイミングに、税務調査が入ってしまうと対応が困難になる場合もあります。

現在の税理士との契約書内容を確認する

まずは現在の顧問税理士と結んだ契約書を見て、契約期間や解除条項を確認しましょう。税理士の顧問契約期間は、一般的に事業年度開始から決算日までの1年間ですが、長期契約を結んでいる可能性もあります。

また、解除申告をしなければ自動更新されるタイプの契約もあるため、いつまでに解除申告すべきなのかもチェックしましょう。契約期間よりも依頼期間が短い場合は、違約金が発生するケースがあります。

新しい税理士を見つける

現在の税理士と契約が解除できそうなのであれば、新しい税理士を探します。税理士を選ぶ際は、以下の点に着目して選ぶといいでしょう。

  • 自社から近いか
  • 自社に必要なサービスを提供してくれるか
  • 報酬は適正か
  • 実績は十分か
  • 相性はいいか
  • 対応は丁寧か

同じことを繰り返さないためにも、税理士選びは慎重に行いましょう。以下の記事では、税理士選びのポイントを詳しく解説しています。

関連記事:税理士の探し方は?おすすめの選び方や変更時の注意点も解説

現在の税理士に契約解除の意思を伝える

新しい税理士が見つかったら、現在の税理士に契約解除の意思を伝えましょう。契約解除の意思を伝える際に大切なのは、できるだけ円満にことが運ぶよう話を進めることです。

契約解除の話を持ちかけたことで関係が悪化してしまった場合、書類の回収がスムーズにできなくなる恐れもあります。

現在の税理士から契約解除の承諾を得られた場合は、書面によって契約解除の日付を明確にしておきましょう。

現在の税理士に預けた書類を回収する

顧問税理士には、数多くの書類を預けた状態になっています。契約解除が成立したら、書類をすべて回収しましょう。書類はすべて、新しい税理士に引き継いでもらう必要があります。

回収するべき書類としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 法人税の確定申告書
  • 消費税の申告書
  • 償却資産税の申告書
  • 請求書
  • 納品書
  • 伝票
  • 総勘定元帳

新しい税理士に会社の状況を把握してもらうためには、過去3期分ほどの書類が必要です。過去の書類やデータも漏らさず返却してもらいましょう。

新しい税理士に切り替える

書類の回収が終わったら、本格的に新しい税理士に切り替えます。顧問税理士のいない空白期間が生まれると不都合が生じる恐れもあるため、余裕を持って契約を進めることが重要です。

一般的に、業務の引き継ぎは税理士間では行われません。依頼者側が必要な書類やデータをきちんと揃え、新しい税理士に引き渡しましょう。

顧問税理士を変更する時の伝え方・断り方のコツ

契約解除する際、どう断れば角がたたないか、悩んでしまう方も多いでしょう。税理士を変更する旨を伝えるコツとしては、以上の4つが挙げられます。契約解除の伝え方に悩んでいる方は、しっかり確認しましょう。

感謝を伝える

現在の税理士に対して感謝の気持ちを伝えたうえで、契約解除の話を持ちかけると、ことが穏便に運ぶ可能性が高まります。

「今までありがとうございました」「最後までどうぞよろしくお願いします」などと伝えると、スムーズに話が進むでしょう。

文章に残す

口頭だけで契約解除の話を進めるのではなく、メールや文書の形で残しておくことも重要です。口頭のみで終わらせてしまうと、認識にずれが生じる恐れがあるからです。

「言った、言わない」の水掛け論のトラブルを防ぐためにも、何らかの形で必ず記録しておきましょう。もしトラブルが発生した際、証拠として役に立つため、第三者にも相談しやすくなります。

また、契約解除する際は、はっきり伝えることも大切です。回りくどい言い方をすると、認識の相違が出やすくなります。

やむを得ない事情を伝える

税理士を変えたいと考えている理由が、必ずしも現在の税理士にとって納得のいくものであるとは限りません。場合によっては反発されることもあり、揉め事に発展する可能性もないとはいえないでしょう。

正直に伝えることで揉めそうだと思ったときには、やむを得ない事情を伝えるのが有効です。「身内の税理士が独立し、その人に依頼したい」「取引先から別の税理士を推薦されており、断れない」など、このような断り方であればトラブルになりにくいでしょう。

契約解除を拒否されたら税理士会に相談する

契約解除の打診をしたときに、必ずしも受け入れてもらえるとは限りません。場合によっては拒否されることも考えられます。契約に反していないのに不当に契約解除を拒まれた場合は、税理士会に相談しましょう。

税理士会には全国の税理士が登録しており、税理士の監督や指導も行っています。不当に契約解除を拒絶されているのであれば、相談窓口に問い合わせましょう。

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本記事では、税理士を変更するのに最適なタイミングを解説しました。

税理士にも得意と不得意があり、人間である以上は相性の問題もあります。また、資格を持っているからといってすべての税理士が十分な経験やノウハウを有しているとも限りません。したがって税理士選びは、慎重に検討する必要があります。

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