「株式会社を設立してみたいけど、具体的な方法がわからなくて動き出せない」
ビジネスに挑戦したいものの、このような悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。
起業家やビジネスパーソンにとって、株式会社を設立することは、新たなビジネスチャンスをつかむ重要なステップです。しかし、株式会社を設立するプロセスは、さまざまな法的要件や手続きがともなう複雑なものです。
本記事では、株式会社を設立するまでの流れ、必要な費用や条件、設立のメリットやデメリットについて詳しく解説します。
起業を考えている人、ビジネスの拡大を目指している人にとって、きっと役に立つものとなっているはずです。ぜひ最後までお読みいただき、成功への一歩を踏み出すきっかけとしてください。
また、株式会社設立でお悩みの方は、ぜひ「かなで税理士法人」までお問い合わせください。かなで税理士法人は、株式会社設立の専門知識と豊富な経験を備えたプロフェッショナルで構成されています。
目次
株式会社を設立するメリット
株式会社を設立するメリットとしては、主に以上の2つが挙げられます。
いずれも株式会社ならではの特徴といえるもので、しっかり把握しておく必要があります。以下の解説を頭に入れておきましょう。
社会的信用が高くなる
株式会社を設立する大きなメリットの一つは、社会的信用の向上です。株式会社は法的な枠組みのもとで作られる法人格であるため、設立することでビジネスにおける信頼性が高まります。
また、株式会社の設立には一定の資本金が必要であるため、設立のハードルが高い点も信頼性に影響しています。
社会的信用は、顧客や取引先、金融機関などとの関係構築において非常に重要な要素となります。何か取引をする際には、個人事業主よりも株式会社のほうが、さまざまな場面において話を進めやすくなるでしょう。
個人事業主よりも資金調達しやすい
株式会社を設立するもう一つの重要なメリットは、資金調達のしやすさです。個人事業主と比べて、株式会社はさまざまな資金調達方法が利用できます。
まず、株式会社は株式を発行して資本を増やせるため、投資家から資金を調達することができます。事業の拡大や新たなプロジェクトの実施に必要な資金調達などを、より大規模におこなうことが可能です。また、株式会社は信用力が高いため、銀行などの金融機関からも融資を受けやすくなります。
資金調達の容易さは、事業を拡大し、新たな市場への参入やイノベーションの推進に必要な資金を確保するうえで、大きなアドバンテージとなるでしょう。
株式会社を設立するデメリット
株式会社を設立することには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。代表的なものとしては、以下の2つが挙げられます。
- 煩雑な業務が多い
- 設立費用がかかる
順番に見ていきましょう。
煩雑な業務が多い
株式会社を設立すると、個人事業主のときと比べて煩雑な業務が増加します。株式会社はさまざまな法的要件にしたがう必要があり、決算公告や役員変更の登記申請手続きなど、やらなければならないことが数多くあるからです。
一連の業務を適切におこなうためには、会計士や税理士などの外部の専門家に依頼するのも一つの選択肢です。しかし、追加費用が発生することに注意しなければいけません。
経営者は、さまざまな煩雑な業務に対処するために、適切なリソースと専門知識を確保する必要があるため、事前の準備と計画が重要となります。
設立費用がかかる
株式会社を設立する際のデメリットとして、設立に費用がかかることも挙げられます。株式会社の設立には、個人事業主の開業と比べて、より多くの初期費用が必要です。会社を立ち上げる際には、必要な資金を確保しておかなければいけません。
会社を設立する際には、主に以下のような費用がかかります。
登録免許税 | 資本金額の0.7%か15万円のどちらが高いほう |
定款の認証費用 | 3万円~ |
定款の収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合は不要) |
定款の謄本手数料 | 2,000円程度 |
印鑑の作成費用 | 1万円程度 |
上記はあくまでも目安ですが、多くの場合においてほぼこれくらいの費用がかかると考えて問題ありません。「小さく始める」ことを目指すとしても、最低限上記の金額は必要になることを頭に入れておきましょう。
株式会社設立の流れ
株式会社を設立する流れは、おおむね以上のようになっています。
会社の基本事項を決定する
最初のステップは、会社の基本事項を決定することです。基本事項とは、以下のようなものを指します。
- 会社の名称
- 事業所の所在地
- 事業の目的
- 資本金の額
- 設立日
- 会計年度
- 株主の構成
- 役員の構成
一連の基本事項を決定する際には、会社の将来的な成長や運営上の条件を考慮する必要があります。いずれの事項も定款に記載されるため、慎重に検討することが重要です。
基本事項の決定は、株式会社設立の基盤を築く重要なステップであり、後の手続きの方向性を決定付けます。
また、基本事項が決まったら「会社の憲法」ともいわれている「定款」を作成します。公証役場に定款を提出し、認証の手続きをおこないます。
資本金の払い込みをおこなう
定款の認証を受けたら、資本金を払い込みましょう。払い込みは、会社の発起人や株主が、指定された銀行口座に資本金を預け入れることによって実行されます。この時点では会社の銀行口座は作れないため、個人口座を使います。
資本金は、会社設立後の運転資金、事業開始の初期費用、または将来の事業拡大のために使用されるものであり、いわば会社の基盤です。適正な資本金の額は、会社の事業規模や目的によって異なるため、自分たちがやろうとしていることの見極めが大切となります。
設立登記申請をおこなう
資本金の払い込みが完了したら、株式会社としての設立登記申請をおこないます。申請は法務局に対しておこなわれるもので、会社設立の法的手続きにおける最終段階です。設立登記を済ませると、会社は法的に認められた「法人」となります。
設立登記の申請には、いくつかの書類を用意する必要がありますが、詳しくは後述します。いずれの書類も、会社の運営基盤や法的構造を証明するものであり、正確かつ適切に準備しなければいけません。
また、設立登記の申請には登録免許税が必要であるため、株式会社を設立する際には、コストの一部としてあらかじめ織り込んでおきましょう。
株式会社の設立に必要な書類
株式会社を設立するためには、いくつかの重要な書類を準備し、提出しなければいけません。会社の設立登記の際に法務局に提出するもので、会社設立における法的根拠となります。
会社の運営構造や資金状況などを明確にするために必要なものであり、提出に不備があった場合には設立登記の申請が却下されてしまうため注意が必要です。
以下で一つ一つ、詳しく見ていきましょう。
株式会社設立登記申請書
株式会社設立登記申請書は、会社設立の際に法務局に提出すべき、もっとも重要な書類です。申請書には、会社の基本的な情報が含まれています。具体的には以下のようなものです。
- 会社名
- 本店所在地
- 公告をする方法
- 目的
- 発行可能株式総数
- 発行済み株式の総数、種類及び数
- 資本金の額
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 役員に関する事項
申請書は、会社が法的な存在として認められるための公式な文書です。したがって、すべての情報は正確かつ適切な形式で記載されていなければいけません。
定款
定款は、株式会社設立に必要な文書であると同時に、会社の基本的な運営方針や枠組みを定めたルールブックのようなものです。
定款の作成は、会社の設立に先立っておこなわれ、株式会社の場合は公証人によって認証される必要があります。公証人による認証は、定款が適切に作成され、法的要件を満たしていることを確認するためのものです。
認証を受けた定款は、設立登記の際に法務局に提出され、会社の公式な運営規則として登録されます。
定款の内容は将来的に変更することも可能ですが、その際には株式総会の決議や再度の登記が必要です。
登録免許税納付用台紙
登録免許税納付用台紙とは、株式会社設立時に法務局に対して支払う必要がある登録免許税を納付するための書類です。
登録免許税は、会社設立の登記をおこなうために必要なものであり、会社設立の法的手続きを完了させるためには必ず支払わなければいけません。登録免許税の額は、資本金の額の0.7%あるいは15万円のどちらか高いほうと定められています。
登録免許税は現金で支払うのではなく、収入印紙を購入し、台紙に貼り付ける形で支払わなければいけません。
発起人の決定書
発起人の決定書とは、定款に記した本店所在地が、発起人全員の合意によって決定されたものであることを証明する書類です。
定款で設立時代表取締役を定めていない場合には、発起人の決定書により、誰が設立時代表取締役になるのかも明らかとなります。ただし、定款に本編所在地を番地まで含めて記載している場合には、発起人の決定書は不要です。
取締役の就任承諾書
取締役の就任承諾書は、株式会社の取締役として選ばれた人物が、役職を受け入れたことを表明する書類です。取締役として指名された個人が就任を承る旨が記載されています。
取締役は会社の経営に関わる重要な役割を担うため、就任承諾書という形で責任を負うことに同意する意思を示さなければいけません。
就任承諾書には、以下のような内容が含まれます。
- 選任された日付
- 選任される役職名
- 選任された役職に就任することを承る旨
- 就任承諾書を作成した日付
- 選任された者の氏名・住所
取締役一人につき一つの就任承諾書が必要となるため、取締役の人数と、提出する就任承諾書の数は同じになります。
印鑑証明書
印鑑証明書は、会社の代表者や取締役が使用する印鑑が正式に登録されたものであることを証明する書類です。会社設立時においては、設立時取締役が就任承諾書などに押印した印鑑の証明書が必要となります。
印鑑証明書は、会社設立をしたあとにもさまざまな場面において必要不可欠です。たとえば金融機関との取引の際、契約書に押印する場合などに印鑑証明書の提出を求められることが考えられます。
印鑑証明書は通常、印鑑の持ち主が居住する市区町村の役場または市民センターなどで発行されるため、取得はそれほど難しくありません。
資本金の払い込みがあったことを証明する書類
資本金の払い込みは、会社設立の法的要件の一つであるため、法務局に証明書を提出し、確かに払い込まれたことを示す決まりになっています。
資本金の払い込みがあったことを証明する書類には、資本金を払い込んだ通帳のコピーが用いられます。具体的には、通帳の以下の3か所をコピーし、ほかの書類と一緒に提出すれば大丈夫です。
- 資本金の払い込みが記帳されている欄
- 表紙
- 個人情報欄
見開きページの綴り部分に、会社の実印で契印するのを忘れないようにしましょう。
株式会社の設立後にやるべきこと
株式会社を設立した後にも、多くの重要な手続きが必要です。具体的には以下のような手続きをしなければいけません。
- 税金に関する手続き
- 保険に関する手続き
- 会社の口座開設に関する手続き
順番に見ていきましょう。
税金に関する手続き
株式会社設立後におこなうべき重要な手続きの一つが、税金に関するものです。手続きには、以下のような書類が必要です。
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書
法人設立届出書は、税務署が会社を認識するために必要な書類です。法人税をきちんと支払うためには届出書を提出する必要があります。
青色申告の承認申請書は、設立第一期目から青色申告を受けたい場合に提出します。
給与支払い事務所等の開設届出書は、会社が役員や従業員に給与を支払う事業所を開設したことを届け出る書類です。
源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書は、原則として毎月おこなわなければならない源泉徴収の作業を年2回にまとめるために必要となります。
保険に関する手続き
保険に関する手続きも、会社設立後におこなわなければならないものの一種です。手続きには、以下のような書類が必要です。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者届
- 雇用保険適用事業者設置届
上記の届出は、労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク)に対しておこないます。いずれも会社所在地を管轄する場所に対して届け出なければいけません。
会社の口座開設に関する手続き
株式会社設立後、会社の財務運営をおこなうためには、会社専用の銀行口座を開設することが必要です。会社の収入と支出を管理するためのもので、個人の口座とは別に設ける必要があります。
会社の銀行口座を開設するには、設立登記が完了した証明書や代表者の印鑑証明書、代表者の身分証明書などの書類が必要です。
会社の銀行口座は、取引の透明性を確保し、会計処理の正確性を高めるうえで重要な意味を持ちます。また、従業員の給与支払い、税金の納付、取引先への支払いなどに使用されるものです。
会社の銀行口座を適切に管理することで、会社の財務状況が明確になり、効率的な資金管理が可能になります。
株式会社設立の条件に関するよくある質問
株式会社を設立する際には、多くの疑問や不明点が生じるのが一般的です。会社を設立するという行為は非日常的なものであるため、普段の生活ではなかなか学ぶ機会がありません。正確に理解するには会社法を読むのが一番ですが、難しい法律であるため、なかなか理解しにくいのが現実です。
ここでは、株式会社設立の条件に関して、よくされる質問に回答していきます。
株式会社の設立に必要な人数は?
現在の日本の法律では、株式会社を設立するためには最低一人の発起人が必要です。逆にいえば、発起人が一人いれば株式会社の設立は可能となります。唯一の発起人がそのまま代表取締役となった形式が、いわゆる「一人会社」です。
したがって、個人事業主やフリーランスであっても、自分自身だけで株式会社を設立することができます。会社を設立すると、個人事業主に比べて信頼性を高めることができるため、事業拡大や資金調達の面で有利になることが期待できるでしょう。
株式会社の設立は自分でできる?
株式会社の設立は、自分だけでおこなうことも可能です。法的なプロセスと手続きに関する十分な知識があれば、個人で株式会社の設立手続きをすることに何の問題もありません。
定款の作成や資本金の払い込み、設立登記の申請など、複数のステップがありますが、どれもクリアできるだけの法律的な知識がある場合や、以前に会社を設立した経験がある場合には、一人でもできるでしょう。
しかし、株式会社の設立は複雑な手続きと多くの法的要件を含むため、基本的には専門家に依頼することが推奨されます。
税理士や司法書士などの専門家は、株式会社設立に関わる法的手続きや書類作成に関する、豊富な知識と経験を有した存在です。彼らの支援を受けることで、手続きのミスを防ぎ、時間とコストを節約し、法的な問題を未然に防ぐことができるでしょう。
株式会社設立でお悩みならかなで税理士法人へ
株式会社の設立は、魅力と可能性に満ちている一方で、多くの煩雑な手続きと法的要件をともなうものです。定款の作成から資本金の払い込み、さまざまな申請に至るまで、設立プロセスは複雑であり、正確な知識と細かな対応が求められます。
税務手続きや法人運営に関する厳しいルールは、とくに初めて事業をおこなう人にとっては難しいと感じられるかもしれません。
株式会社設立でお悩みの方は、ぜひ「かなで税理士法人」までお問い合わせください。
かなで税理士法人は、株式会社設立の専門知識と豊富な経験を備えたプロフェッショナルで構成されています。お客様のビジョンと目標を理解し、株式会社設立のあらゆるプロセスをサポートすることが可能です。
定款の認証から登記手続き、税務に関するアドバイスまで、一貫したサービスを提供いたします。無料相談も可能ですので、ぜひお気軽にご利用ください。
かなで税理士法人
代表税理士
青山学院大学経営学部卒業後、2019年にかなで総合会計として独立開業。2024年にかなで税理士法人を設立。税理士事務所や一般企業の中で税務・財務・労務を行った経験を活かして、スタートアップ企業から中小企業の経営基盤構築のアドバイスまで幅広く業務を行う。
かなで総合会計はお客様と志を共にすること、そしてお客様の夢をかたちにするために日々サービス展開を行っている。起業・会社設立を一つの強みとし、創業融資などの資金調達支援や助成金・補助金のアドバイス業務も行っている。