青色申告はどこまで経費にできる?個人事業主向けに分かりやすく解説

青色申告はどこまで経費にできる?個人事業主向けに分かりやすく解説

「節税のために青色申告をしたいのだけど、経費についてよくわからない」

このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。個人事業主は、経費計上の範囲について正確に理解しなければいけません。経費として認められるのは、事業の収益を得るために必要とされた費用のみです。

しかし、実際にどのような費用が経費として計上できるのかについては、複雑な問題となりがちです。

本記事では、青色申告における経費計上の基本的な考え方から、具体的にどのような費用を経費にできるのかまで解説します。また、経費計上にあたっての注意点なども細かく見ていきます。

また、複雑な確定申告を誰かに任せたいと考えている方は、ぜひ「かなで税理士法人」にご相談ください。初回相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

事業に関連したものが経費になる

事業運営において経費を計上する際、もっとも基本的な原則は「その支出が事業に関連しているか」です。税務署から経費の正当性を問われた場合、事業に必要な支出であると客観的に証明できなければいけません。

例えば、飲食代について考えてみましょう。接待やビジネスミーティングの際に発生した飲食代は、取引先や見込み客との重要な打ち合わせの一環として経費計上できます。しかしそのためには「誰と」「どのような目的で」飲食を行ったのかを明確にしなければいけません。

単に飲食したという事実だけでは不十分であり、ビジネス上の必要性や目的を示すことが求められます。

領収書の保管もまた重要です。領収書には支出の日付や金額などがきちんと記載されていなければいけません。後日税務調査が行われた際に、各経費が事業に関連するものであることを証明できるか、という基準で考えましょう。

経費を計上する際の注意点

経費を計上する際には、主に以上の3つに注意する必要があります。いずれもしっかり覚えておかなければならないものです。以下の解説を読んで、きちんと把握しておきましょう。

プライベートの支出は計上できない

個人事業主として事業活動を行う場合は、プライベートとビジネスの費用を明確に区別しなければいけません。税務上、経費として計上できるのは事業活動に関連する支出のみです。したがって、個人的な消費は経費として計上することができません。

例えば、家族との食事代や個人の趣味に関わる費用などは、事業活動とは無関係のため経費として計上することは不可能です。

プライベートとビジネスの費用を明確に区別するためにも、事業用の銀行口座と個人用の銀行口座は分けておきましょう。口座を分けておけば、事業用と個人用の支出を明確に分離できるため、混乱をきたす可能性が低くなるでしょう。

証拠書類は保存する必要がある

経費計上においては、領収書やレシートなど証拠書類の保存が極めて重要です。領収書やレシートを保存しておくことは、経費として計上する際に必ず行わなければならないこととして定められています。

青色申告を利用している場合、通常は確定申告書と決算書が提出書類となります。しかし、税務調査が行われた際には、証拠書類の提出が必要です。提出できないとペナルティが課される恐れがあるため、日頃からきちんと証拠書類を保存しておくことが必要不可欠となります。

プライベートでも使うものは「家事按分」する

事業とプライベートで共用する物品やサービスについては、家事按分を適切に行わなければいけません。家事按分とは、費用を事業用とプライベート用に分けて計上することです。

事業とプライベートで共有する物品やサービスの例としては、スマートフォンや車が挙げられます。事業用とプライベート用に分けることが難しい場合は、使用状況にもとづいて費用を按分することが必要です。使用面積や使用時間をもとに計算するといいでしょう。

個人事業主が経費にできるものを勘定科目ごとに紹介

個人事業主が経費計上できる項目は多岐に渡ります。勘定科目ごとに、どのような費用が含まれるのかを理解することは、税務上のメリットを活用するうえでとても重要です。

ここでは、経費にできるものを勘定科目ごとに簡単に紹介します。

接待交際費

接待交際費は、取引先や顧客との関係構築や維持のために支出される費用のことです。ビジネス上の食事会や接待、ギフトの購入費用などが含まれます。

接待など取引先との関係構築は、事業運営における重要なコミュニケーションであるため、多くの個人事業主にとって欠かせないものです。

接待交際費を経費として計上する際には、支出が事業関連のものであることを明確に示す必要があります。取引先と会食をした場合には、誰が参加したのかといったことを明確に記録しておくことが望ましいでしょう。

交通費

交通費は、事業活動に必要な移動にかかる費用を指します。例えば以下のようなものです。

  • 取引先への訪問
  • 業務上の会議やセミナーへの参加

交通費として計上できるのは、公共交通機関の利用料金やタクシー料金などです。また、似た勘定科目に「旅費交通費」があります。旅費交通費には、出張など遠方への移動や宿泊が該当します。

広告宣伝費

広告宣伝費は、製品やサービスの宣伝、企業のイメージアップなどを目的として支出される費用のことです。以下のようなものが含まれます。

  • 新聞や雑誌への広告掲載料
  • インターネット広告の費用
  • チラシやパンフレットの制作費
  • 看板屋上り旗などの製作費
  • 展示会への出展費用

広告宣伝費は、事業の成長と直接的に関連する重要な投資です。市場に対する認知度を高め、新たな顧客を獲得するための手段として多くの個人事業主が活用しています。

外注費

外注費は、事業活動に必要な業務を外部の業者や個人に委託し、対価として支払う費用のことです。以下のようなものが含まれます。

  • 外注したフリーランサーへの支払い
  • 専門家へのコンサルティング料
  • デザインやWebサイト制作
  • 会計業務の委託費用

外注費は、スキルやリソースが不足しているときに、業務を外部に依頼し、効率的に事業運営を行うためのものです。

消耗品費

消耗品費は、事業活動を行う過程で消費される物品の購入にかかる費用のことです。以下のようなものが含まれます。

  • ボールペンや印刷用紙などのオフィス用品
  • トイレットペーパーなどの清掃用品

消耗品は使うと減少するため、定期的に補充が必要となるものです。きちんと計上することは、手元に少しでも多くの利益を残すための重要な作業となります。

注意点として、消耗品費は一度の出費が10万円未満でなければならないことが挙げられます。10万円以上となった場合には、減価償却の形で経費計上するなどの対象が必要です。

地代家賃

地代家賃は、事業の運営に必要な土地や建物を借りるために支払う費用のことです。オフィスや倉庫など、事業活動を行うためのスペース確保に必要な賃料が該当します。

なお、敷金は地代家賃にはならない点に注意しましょう。敷金は「敷金」や「差入保証金」に該当します。また20万円以上の返金されない礼金や更新料も地代家賃にはならず、繰延資産として扱う必要があります。

水道光熱費

水道光熱費は、事業活動を行う場所で使用する水道や電気などの公共サービスに対する支払いのことです。オフィスや店舗の日常的な運営に不可欠な基本的サービスであり、利用料金は経費として計上できます。

オフィスや店舗の規模が大きくなればなるほど、水道光熱費も上昇します。経営を圧迫させる要素となる場合もあるので、しっかりと考えなければならない出費です。

個人事業主が自宅で仕事をする場合には、水道光熱費の全額を経費とすることはできません。仕事で使用した割合を、根拠にもとづいて按分する必要があります。

通信費

通信費は、事業活動における通信手段にかかる費用のことです。以下のようなものが該当します。

  • インターネット接続料金
  • 固定電話および携帯電話の利用料金
  • ファックス送信費用
  • 業務に必要なWebサービスの月額料金

現代のビジネスにおいて上記の出費は不可欠なものであり、したがって経費として計上できます。ただし仕事とプライベートで共用しているものについては、使用割合に応じて按分しなければいけません。

減価償却費

減価償却費は、事業用の資産が経年劣化などにより価値が減少することを反映した費用です。以下のようなものがこのカテゴリに含まれます。

  • 建物
  • 機械設備
  • 車両
  • 10万円以上のコンピューター

上記のような資産の購入費用は、一度に経費として計上しません。耐用年数に応じて、按分して計上する必要があります。

参考:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

租税公課

租税公課は、事業運営にともなって国や地方自治体に支払う税金や公的費用のことです。以下のようなものが含まれます。

  • 事業税
  • 固定資産税
  • 行政サービスに関する手数料

租税公課は、事業の法的義務として避けられない支出であり、事業を適正に運営するために必須となります。関連する領収書や納税証明書をしっかり保管しておきましょう。

青色申告は白色申告と比べると節税効果が高い

青色申告は個人事業主にとって、税金を計算するうえで大きなメリットをもたらします。青色申告制度を利用することで、税金面で有利な扱いを受けられるからです。

主なメリットとしては、以下の2つが挙げられます。

  • 最高65万円の青色申告特別控除が受けられる
  • 親族への給与を経費にできる

順番に見ていきましょう。

最高65万円の青色申告特別控除が受けられる

青色申告の最大のメリットともいえるのが、最高65万円の特別控除を受けられる制度です。特別控除は事業所得から直接差し引けるため、実質的な課税所得を減少させることが可能となります。結果として、支払う税金の額を減らすことにつながります。

65万円の控除を受けるためには、単に青色申告の承認を受けただけでは不十分であることに注意してください。 e-Taxによる申告や複式簿記による記帳などが、要件として求められます。

郵送で確定申告を行う場合には、すべての書類がきちんと揃っていたとしても最高55万円までしか控除を受けられません。節税を重視するのであれば、電子申請の利用を検討しましょう。

参考:65万円の青色申告特別控除を適用しましょう|国税庁

親族への給与を経費にできる

青色申告においては、親族を事業に専従させる場合、給与を経費として計上することが可能です。専従者給与として知られており、事業主が家族を雇用する場合に適用されます。

白色申告の場合は、配偶者に対して年間86万円、それ以外の親族に対して年間50万円までの制限があります。しかし、青色申告には金額面での制限はありません。

また、専従者給与を経費として計上するには、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておく必要があります。給与を支払う年の3月15日が期限であることに注意してください。

参考:A1-11 青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁

青色申告の経費に関するよくある質問

ここでは、青色申告の経費に関するよくある質問に回答していきます。

経費に上限はある?

青色申告において、経費計上に関して設けられている上限は特にありません。しかし、支出が事業運営に必要かつ適切な金額であることが前提となります。

経費として計上できるのは、事業運営に必要な費用です。過度に高額な支出や、事業の収益性を著しく損なうような無駄遣いは、税務調査の際に問題視される恐れがあります。

経費計上の際には、支出が事業の収益を増加させるために、どう貢献するものなのかを明確に示すことが重要です。

青色申告決算書の書き方は?

青色申告決算書は手書きで作成することもできますが、手間がかかります。手軽に作成するなら、市販の確定申告ソフトや、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用しましょう。必要な情報を入力することで自動的に、適切な形式で決算書を作れます。

また、上記のようなツールは最新の税法改正に対応しており、利用者が法改正を知らなくても正しく申請できる点も魅力です。

30万円未満の固定資産を一括で全額経費にできる制度とは?

少額減価償却資産の特例は、事業用の固定資産取得価格が30万円未満である場合、費用を一括で経費計上できる制度です。特例を利用することで、購入費用を全額経費として計上し、節税効果を得ることが可能となります。

少額減価償却資産の特例は、特に中小企業や個人事業主にとって、資金の効率的な運用と税負担の軽減に役立ちます。

ただし、この特例の適用には上限があります。1つの事業年度につき合計300万円を超える額を申請することはできません。ある事業年度の複数の少額減価償却資産の合計が300万円を超えた場合、超過分には特例が適用されないことに注意が必要です。

確定申告はかなで税理士法人へご相談を

確定申告は多くの個人事業主にとって、年間を通しての財務活動の集大成ともいえる重要なプロセスです。しかし、税法の複雑性や経費の計上基準など専門的な知識が必要となるため、作業は非常に煩雑なものとなります。

確定申告の時期に、事業そのものに専念するには、プロフェッショナルの支援を受けることが非常に有効です。煩雑な確定申告を誰かに任せたいと考えている方は、ぜひ「かなで税理士法人」までお問い合わせください。

かなで税理士法人は、豊富な経験と専門知識を有する会計プロフェッショナルチームです。個々の事業状況にカスタマイズされた支援により、事業主の皆様はご自身の事業に専念できるようになるでしょう。初回相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

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